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マンションの資産価値のモノサシ①ワークプレイス(職場)

公開日:2018年9月18日

日本最初のマンションは、100年以上前につくられた

かつて海底炭鉱として栄えた長崎県の端島(通称 軍艦島)
かつて海底炭鉱として栄えた長崎県の端島(通称 軍艦島)

日本初の鉄筋コンクリート造の高層アパートが造られたのは、1916年。場所は、そのカタチから『軍艦島』と呼ばれている長崎県の端島です。周辺の海底には、良質な石炭を産出する海底炭田があり、その拠点として端島の開発が進みました。南北に約480メートル、東西に約160の広くない島内には、マンション以外に学校や病院、映画館などの娯楽施設も造られ最大5,000人を超える人が住んでいたそうです。今で言うコンパクトシティを当時から実現していたのです(参考:ウイキペディア)。

昭和49年に炭鉱は閉山となり、島から島民が一斉に退去し現在に至っています。現代で言う「職住近接」の街でしたが現在は無人島となっています。私も2016年1月に現地を訪ねましたが密集した市街地から当時の活気が偲ばれるとともに、老朽化した建物を見ると鉄筋コンクリート造とはいえ放置されたままで年数が経過すると傷みが激しいことを実感しました。

1916年に端島(通称 軍艦島)につくられた30号棟
1916年に端島(通称 軍艦島)につくられた30号棟

端島の例のように職場が地域からなくなると、必然的に住宅ニーズも減退します。同じ炭鉱町で閉山とともに人口が減った夕張市や自動車産業の衰退で低迷したアメリカのデトロイト市のようにワークプレイスの規模は、住宅ニーズに関係します。将来の資産としての住宅の価値を求めるなら、ワークプレイスがどうなるのかを検討する必要があります。

首都圏にも当時に近い年代に建てられた鉄筋コンクリート製の高層アパートがありました。1923年の関東大震災を受け復興支援のために設立された同潤会によって建てられた集合住宅同潤会アパートで、東京・横浜に16のプロジェクトが実施されました。現在は、全てのプロジェクトがオフィスや商業施設・共同住宅として再生されており、代官山アパートメントは「代官山アドレス」に、青山アパートメントは「表参道ヒルズ」に、上野下アパートメントは、「ザ・パークハウス 上野」へと生まれ変わっています。

同潤会代官山アパートメントは「代官山アドレス」として再生された
同潤会代官山アパートメントは「代官山アドレス」として再生された

ワークプレイスのある場所に居住ニーズはある

ワークプレイスと人口トレンドの関係を国勢調査のデータを基に見てみましょう。2010年の東京都の区市町村別昼間就業者数のトップは港区の749,825人、2位は千代田区の725,447人、3位は中央区の550,871人です。同じく3区の夜間人口(定住人口)は、港区205,131人、千代田区47,115人、中央区122,762人です(2010年10月 国勢調査データ)。3区とも定住人口と就業人口の大きなギャップがあります。

2010年と2015年の国勢調査で人口を比較してみると、千代田区が+24.0%、港区が+18.6%、中央区が+15.0%となっていて定住人口と就業者数のギャップの大きい都心3区は高い人口の伸びを示しています。現代人に足りないものが「時間」だとすれば、こうした傾向は今後も続くのかも知れません。

事務所床面積の割合(東京23区)東京都発表の東京の土地2016(土地関係資料集)より 東京都が課税資料より作成
事務所床面積の割合(東京23区)東京都発表の東京の土地2016(土地関係資料集)より 東京都が課税資料より作成

10年後の世の中は、果たしてどうなっているのでしょうか。2018年に株式公開を果たした企業を見ると平成に入ってから設立された企業が相当数あることに気付きます。今存在しない事業や企業も間違いなく誕生していることでしょう。現在伸びているIT系の企業群を想定すると多くの企業は、おそらくオフィスなどの業務施設が拠点になると思われます。

東京23区の事務所床面積の割合のデータを東京の土地2016(土地関係資料集 東京都)で見てみましょう。ワークプレイスの中心になるのは、先ほど就業者数の上位に挙がった港区・千代田区・中央区で約5割を占め新宿区・渋谷区・品川区・江東区が続きます。現在進行中の開発プロジェクトの多くは、都心エリアに目立ちます。都心アクセスの良好な場所は、今の職住近接トレンドを考えると資産として魅力ある場所と言えるでしょう。

一方で、ライフスタイルの多様化や働き方の変化で、テレワークのような自宅出勤やコワーキング、マルチワークなども目立つようになっていて、働き方が変わる可能性もあります。自宅で仕事ができるフリーランスの方は、環境の良い郊外で暮らすという選択肢も増えるかも知れません。いずれにせよ全体の人口増が期待できない今後の日本において、住まいをどこに持つかはますます重要になってくるでしょう。

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岡本郁雄(おかもといくお)

著者プロフィール
 岡本郁雄(おかもといくお)

ファイナンシャルプランナーCFP®、中小企業診断士、宅地建物取引士。不動産領域のコンサルタントとして、マーケティング業務、コンサルティング業務、住まいの選び方などに関する講演や執筆、メディア出演など幅広く活躍中。延べ3000件超のマンションのモデルルームや現地を見学し、マンション市場の動向に詳しい。神戸大学工学部卒。岡山県倉敷市生まれ。

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出典元:マンションサプリ