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15年、資産1千万円をマンションで作る道

公開日:2018年8月14日

マンション

低金利の今だからできるマンションでの資産形成

「このマンションは、上がりますか?」。新築マンション価格の上昇が鮮明になり、リセールバリューの高いマンションが目立つようになった2014年頃からこうした質問をよく受けるようになりました。この類いの質問には大抵の場合、答えに窮します。マンション価格はその時点の市況を反映して設定されるので、その時点では市場価格と大差のないケースが多いのです(高倍率で即日完売するようなことは稀です)。

しかし資産形成を考えるなら、マンション価格が上がることが必要条件ではありません。住宅ローンを利用して多くの人がマンションを購入する訳ですが、金利水準の低い今ならば資産価格が落ちなければ結果的に資産を増やしていることになるのです。住宅ローンの毎月の返済額や金利負担は、借入額、借入期間、金利によって変わってきます。借入額が小さく、借入期間が短く、金利が低い方が金利負担は小さくなります。中でも重要なのが金利です。住宅ローン金利がもしも0%だったら借入額・借入期間に関わらず金利負担は0になります。今のような低金利の下は、住宅ローンの一定額の利用を必要な方にとっては、マンション購入による資産形成の好機なのです。

住宅ローン金利の推移 出典:国土交通省 平成29年度 住宅経済関連データ
住宅ローン金利の推移 出典:国土交通省 平成29年度 住宅経済関連データ

日本銀行による金融緩和によって、住宅ローン金利は歴史的な低水準にあります。住宅ローン金利の高低はマンション購入における返済プランだけでなく家族ライフプランニングにも影響します。リーマンショックのあった10年前(平成20年7月頃)のフラット35の最低金利は2.9%(旧団信)を超えた水準でした。平成30年8月のフラット35の最低金利は、1.1%(旧団信)を下回る水準となっており10年前と比べると金利負担がかなり低くなっています。

資産価格―住宅ローン残債で今の正味資産価格を把握する

6000万円のマンションを頭金1000万円・借入金5000万円(固定金利1% 借入期間35年 元利均等)で購入した場合(諸費用、住宅ローン控除を考慮せず)をシミュレーションしてみましょう。月々の返済額は、141,143円となります。住宅ローン金利が低いと毎月の返済額に占める元本割合が大きくなり着実に残債が減っていき今回のケースでは、5年目の残債額が4388万円(千円単位以下は切捨て)、10年目の残債額は3745万円(千円単位以下は切捨て)、15年目の残債額は3069万円(千円単位以下は切捨て)となります。マンションの資産価格に変動が無ければ資産価格から住宅ローンの残債を差引いた正味資産価格は表1の示すように購入時の1000万円から10年後に2255万円となり資産が1255万円増えたことになります。

※単位(万円):6000万円のマンションを頭金1000万円・借入金5000万円(固定金利1% 借入期間35年 元利均等)で購入した場合の概算シミュレーション 資産価格変動なしの場合
※単位(万円):6000万円のマンションを頭金1000万円・借入金5000万円(固定金利1% 借入期間35年 元利均等)で購入した場合の概算シミュレーション 資産価格変動なしの場合

通常マンションは、設備や建物の劣化で築年数が古くなると価格が下がるのが一般的です。同じ返済プランで、マンションの資産価格が1年間で100万円ずつ下がるケースをシミュレーションしてみます。

※単位(万円):6000万円のマンションを頭金1000万円・借入金5000万円(固定金利1% 借入期間35年 元利均等)で購入した場合の概算シミュレーション 資産価格が1年間で100万円下がる場合
※単位(万円):6000万円のマンションを頭金1000万円・借入金5000万円(固定金利1% 借入期間35年 元利均等)で購入した場合の概算シミュレーション 資産価格が1年間で100万円下がる場合

マンションの資産価格が1年間で100万円下がるケースの場合は、表2のように正味資産価格は購入時の1000万円から10年後に1255万円となり資産の増加額は255万円にとどまります。マンション価格が下がらない場合と比べると資産額の増加は小さくなっていますが今回のシミュレーションでも5年後、10年後、15年後と着実に正味資産額は増えています。このことから一定条件のマンション購入なら資産価格が下がったとしても資産形成に結びついていることが理解できます。仮に同じ返済プランで15年後の資産価格を購入時15%ダウンの5100万円と想定すると正味資産額は2031万円となり1000万円超の資産が形成されることになります。さらに、住宅ローン控除の要件を満たせば、平成33年12月までなら所得税や住民税の控除も受けられます。

―マンションを売らなければ資金化できない点に注意

金利が2%になる場合を同条件でシミュレーションすると毎月の返済額は、165,631となり金利1%の際の141,143円から2万超もアップ。10年後の残債額も3907万円台と大きくなり毎月の負担が増えるとともに残債額も残るので借入金利1%のときと比べると資産形成しにくくなります。また、マンション価格が下がりにくい方が資産形成につながりやすいです。低金利かつ資産価格を維持しやすいことが資産形成では重要なのです。

マンションによる資産形成で留意したいのは、金融資産と違い分割して売ることが難しいということです。子供の進学などで急に教育資金が必要になった場合や災害などで急な出費の際に株などの金融資産であれば必要な分だけ売却することが可能です。一方、自宅マンションの売却は簡単にできることではないですし、一部を資金化するのは難しいでしょう。永住目的で暮らす場合も注意すべきポイントで、いくら資産価格が高くてもずっと住むなら資金化は難しい。ライフスタイルの充実のためには、一定の金融資産を持ち余裕資金があることが大切です。一方で、セカンドライフとして地方に移住するなどの住み替えプランがあれば資産価値のあるマンションは心強い味方。住み替え前提ならマンションをどのタイミングで売却するのか、その時の残債はどの程度なのかは事前に把握しておきましょう。

平成26年全国消費実態調査による「1世帯当たり家計資産の内訳(二人以上の世帯)全国平均」によれば家計資産3491万円のうち宅地資産+住宅資産が2324万円(66.6%)であるのに対し金融資産は1039万円(29.8%)。不動資産の比率が高いものの一定の金融資産を保有していることが数値に表れています。老後の安心のためには欠かせない資産形成ですが、資産バランスを気にしながら自宅マンションの購入から始めるのも一つの方法ではないでしょうか。

岡本郁雄(おかもといくお)

著者プロフィール
 岡本郁雄(おかもといくお)

ファイナンシャルプランナーCFP®、中小企業診断士、宅地建物取引士。不動産領域のコンサルタントとして、マーケティング業務、コンサルティング業務、住まいの選び方などに関する講演や執筆、メディア出演など幅広く活躍中。延べ3000件超のマンションのモデルルームや現地を見学し、マンション市場の動向に詳しい。神戸大学工学部卒。岡山県倉敷市生まれ。

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出典元:マンションサプリ